第7話「三人目の魔法使いなの?」
衝突した二人の杖…間にはさまれたジュエルシードからほとばしった閃光と衝撃が、二人の杖を破損させる。
衝撃に吹き飛ばされる二人。
ジュエルシードは不気味な鼓動を続けていた。
破損したバルディッシュを待機状態に戻し、フェイトは素手での封印にかかる。
アルフの制止も聞かず、必死で封印を行うフェイト。
両手の平の負傷…そして意識を失うほどの魔力喪失と引き換えに、フェイトはかろうじてジュエルシードの封印に成功する。
そんなフェイトを抱き上げ、アルフはなのはたちに怒りの視線を向けて去っていく。
その夜。
レイジングハートの破損、そして先刻の閃光と衝撃…ジュエルシードが持つ力について、思いを巡らせるユーノ。
破損したレイジングハートを心配するなのは。
一方。フェイトの部屋では、アルフがフェイトの治療をしていた。
「明日は母さんに報告に戻る日だから、早く治さないと」と微笑むフェイトに、どこか不満げなアルフ。
アルフはフェイトの母、プレシアに疑問を持っているのだった。
優しくなだめるフェイトに、複雑な感情を隠しきれてないアルフ。
しかし、今回は短期間で目的の物…ジュエルシードを4つも入手したのだから、叱られることなどないのだし…と思い直し、つとめて明るく振る舞おうとするアルフにフェイトは優しい微笑みを返し、静かに母を思う。
翌日…。美由希が日課の早朝ジョギングを終えて道場に入ると、そこにはなのはがひとりたたずんでいた。
姉の練習風景を見ながら、ひとり物思いのなのは。
ユーノからの念話を受け、なのははいま自分が思っていること…「フェイトのことが気になる」という思いを伝える。
強さと儚さ…瞳の奥の優しさと悲しみ。
フェイトがジュエルシードを集めている理由を知りたい、と強く願うなのは。
甘いお菓子の手土産を持ち、母親のもとへと向かうフェイトとアルフ。
一方、次元空間内では時空管理局の艦船「アースラ」が、ある地点に向けて航行していた。
彼らはなのはとフェイトの衝突…そして、その際に発生した衝撃と閃光を知り、事態究明のために現地に向かっているのだった。
そのころ、別次元…フェイトたちの住居である「時の庭園」には、鞭の音とフェイトの悲鳴が響きわたっていた。
フェイトの母、プレシアがフェイトを叱責しているのだった。
「こんなに待たせておいてたったの4つでは、笑顔で迎えるわけにはいかない」
「教育」として、フェイトに鞭と共に叱責を与えるプレシア。
「邪魔するものがあるなら潰しなさい、どんなことをしても」
全身を鞭打たれたフェイトを介抱することもなく、そう言って去っていくプレシア。
部屋を出たフェイトにアルフが駆け寄り、プレシアの非情な行動に憤るが、フェイトはそれを優しくなだめる。
あれはフェイトのための叱責であり、失敗した自分がいけなかった、と。
それを否定するアルフだが、フェイトは
「ずっと不幸で悲しんできた母さんだから、わたし、なんとかして喜ばせてあげたいの」
と傷だらけの体で微笑む。
そして、フェイトはさらなる強い意志でジュエルシードの回収へと向かう。
「だから行こう…今度はもう、失敗しないように」
昼。
学校で談笑するなのはとすずか。アリサはまだ、なのはと打ち解けていなかった。
淋しく微笑むなのは。
夕暮れ時。
街並みを見下ろし、回復を終えたバルディッシュにねぎらいの言葉をかけるフェイト。
ジュエルシードの発動が近かった。
学校帰りのなのはは、回復したレイジングハートをユーノから受け取る。
「また一緒にがんばってくれる?」との問いに答えを返すレイジングハート。
そして、発動したジュエルシードは樹を取り込み、周辺への無差別攻撃を開始する。
フェイトの放ったフォトンランサーをバリアで防ぐジュエルシードに驚くアルフ。
同時に現場にたどり着いていたなのはとユーノ。
それぞれ攻撃を開始する二人。、
フェイトが地上からのアークセイバーで根を破壊している隙になのはは上空へと上昇、ディバインバスターを放射する。
さらにフェイトのサンダースマッシャーが放たれ、ジュエルシードは即時封印。
互いに意識しないまま、苦しくも共闘するような形で封印は終えたものの、どちらがジュエルシードを手に入れるからはこれからだった。
なのははフェイトが挑む戦いを受けて立つが「話をしたいだけ」もし自分が勝って、ただの甘ったれた子でないということが伝われば、その時は話を聞いてほしいと申し出る。
フェイトは無言のまま、ふたたび戦いが始まった―――――かに見えたその瞬間。
二人の杖は、何者かによって取り押さえられていた。
二人の間に割って入ったのは、黒髪の少年。
「時空管理局執務官、クロノ=ハラオウンだ…詳しい事情を聞かせてもらおうか?」