第6話「わかりあえない気持ちなの?」
完敗に終わった先日の戦闘から、ずっと思い悩んでいるなのは。
敗北のこと、ジュエルシードのこと…そして、フェイトのこと。
学校での会話中も悩みは晴れず、ついにはアリサを怒らせてしまう。
ただ謝るだけのなのは、去って行ってしまうアリサ。そして、二人の間で心配するすずか。
アリサを追い、あまり怒ってはだめだと諭すすずかだが、アリサは怒りを隠さない。
なのはが思い悩み、困っていることがわかるのに、問いただしても何も教えてくれないこと。
どんな小さなことでも役に立って上げたい。
なにもできなくても、一緒に悩んであげたい。
そんな思いをすずかに告げるアリサ。
すずかはそんなアリサに微笑み、自分も同じであることを告げ、
ふたりは「なのはがいたから、ひとりぼっちでなくなった自分」に思いをはせる。
バイオリンのお稽古があるからと、いっしょに帰るすずかとアリサ。
目を合わせようとしないアリサと、精一杯気をつかうすずかを見送り、一人淋しく家路をたどるなのは。
そして、バイオリン教室に向かうアリサとすずかは車中で話をする。
それぞれの過去のこと。「三人」の出会いのきっかけのこと。
アリサはかつてわがままで自信家で、それが行き過ぎていじめっ子だった。すずかは気弱で、大切なヘアバンドをとられても何も言えないような子だった。そして、そんな二人の間に割って入り、アリサの頬を叩いたのがなのはだった。
「痛い?でも、大切なものをとられちゃった人の心は、もっともっと痛いんだよ」
それが、三人の出会いだった。
すずかははそんな話をきっかけに、アリサになのはとの和解をすすめるが、アリサはなのはの心情を察した上で、「親友の力になれない自分」に怒りながら、なのはがいつものなのはに戻るのを待つという。
なのはは寂しさを押し殺し、自宅でおやつのたいやきをユーノとわけあい、ユーノとともにジュエルシード捜しへと出かけていく。
一方、フェイトたちは自宅で休憩中だった。ドッグフードを美味しくいただいたアルフはフェイトの様子を見に行くが、フェイトは用意した食事にほとんど手をつけず、ベッドに横たわっているのみだった。
心配するアルフを優しくなだめ、「平気だよ、私、強いから」と、微笑むフェイト。母を待たせたくない。その一心で、フェイトは探索へと出かけていくのだった。
町中で探索を続けるなのはとユーノ。
ユーノといったん別れ、家に戻るなのは。いつもなら二人からのメールが届いている時間であることを思い出して携帯を開いてみるが、着信はない。走り出すなのはだったが、周辺を突如、魔力流が発生する。
フェイトとアルフの二人が、ジュエルシードの強制発動をしかけたのだった。結界を張るユーノ、戦闘態勢をとるなのは。
フェイトとなのはは、発動したジュエルシードに遠距離から同時に封印をしかけ、迅速な停止に成功する。
そして、停止したジュエルシードを見上げながら、ふと思いをはせるなのは。アリサやすずかとも、はじめて会ったときはわかりあえていなかったこと。今日、アリサを怒らせてしまったのも、自分の気持ちを伝えられなかったからであったこと。
現れるフェイトとアルフ。
なのははフェイトの瞳を見つめて、先日はできなかった自己紹介をする。光鎌の静かな一振りで答えるのみのフェイト。光の宿らないその瞳を見つめながら、なのはは思う。
「どうしてそんなに、淋しい目をしてるのか」
バイオリン教室が終わり、なのはにメールを打つすずか。
一瞬心が揺れるアリサだったが、すぐにやめて帰宅をうながす。すずかは、なのはに「アリサがあまり怒っていないこと、心配ないこと、いつだって応援していること」をメールで伝える
怪しく鼓動を打つジュエルシードをのすぐ近く、市街地のビルの谷間で熾烈な空中戦を繰り広げる二人。
発射に時間のかかるディバインバスターの欠点を補う中距離射撃魔法「ディバインシューター」、フェイトの機動性に対抗した高速移動魔法「フラッシュムーブ」を駆使して、互角の戦いをするなのは。
一触即発の射撃距離の間で、なのははフェイトの名を呼ぶ。
「言葉だけじゃなにも変わらないって言ってたけど、話さないと、言葉にしないと伝わらないこともきっとあるよ」
そう伝え、自分がジュエルシードを集める理由を伝えるなのは。
フェイトは一瞬答えを返しかけるが、アルフに「自分たちの最優先事項は、ジュエルシードの捕獲である」と止められる。
ジュエルシードに向かうフェイト、追うなのは。
二人の杖が同時にジュエルシードをとらえたその瞬間。
レイジングハートとバルディッシュに亀裂が入り、まばゆい衝撃と閃光が走る。
光の爆発は、結界内を満たしていき…。