第1話「それは不思議な出会いなの?」
両親と兄姉に囲まれ、平凡に暮らしている小学三年生、高町なのは。
携帯電話のアラームで目覚めるいつもの朝だったが、今朝はなんだか不思議な夢を見ていた。
暗い森と不気味な黒い影…そしてそれと戦う少年の夢。
気をとりなおしての家族といっしょの朝食、スクールバスでの通学。
仲良しの友達、アリサ・バニングスと月村すずかの二人といっしょに、学校で受ける授業。
いつもどおりの日々の中、社会科の授業中の「将来は何になりたいですか?」という担任教師の問いを、お昼を食べながら考えるなのは・アリサ・すずかの三人。
両親ともに会社経営なので、そのあとを継ぐためにたくさん勉強をする、というアリサ。
機械系が好きなので工学系に進みたいというすずか。
将来を考えている二人と違って、将来についての意志や思いがないこと…。
ひいては自分に、特筆できるような取り柄がなにもないのではないか。
そんななのはを「ばかちん」と叱るアリサと、「なのはちゃんにしかできないこと、きっとあるよ」と慰めるすずか。
「自分にできること、自分にしかできないこと」
やりたいことがあるような気がしても、それがなんなのかいまだはっきりしないという思いを抱いているなのは。
学校帰りに塾に向かう途中、不意に昨夜の夢と同じ風景を見るなのは。
自分を呼ぶ声に導かれるように向かったその先には、怪我を負った小さな動物がいた。
フェレットらしきその動物を獣医に預けたその夜、
ベッドに入る支度をしているなのはの元に、ふたたび声が聞こえる。
「お願い、助けて…」
助けを求めるその声にひかれ、なのははフェレットを預けた槙原動物病院へと向かう。
入り口で再び不思議な音を聞くと、周囲の風景から色と音が消えてしまう。
驚く間もなく、轟音を立てて走る黒い影と、その襲撃から逃げるフェレットを目撃するなのは。
なのははとっさにフェレットを助けるが、「来てくれたの…?」と語りかけるフェレットに驚く。
そのフェレットは、「ある捜し物」のため、異世界から来たのだという。
彼の扱う力…「魔法」。
魔法を使う資質を持つなのはに、力を貸してほしいと頼むフェレット…ユーノ。
危険な状況の中なのはは決心し、ユーノから真紅の宝石「レイジングハート」を受け取る。
ユーノが教える呪文で、なのはの手の中でレイジングハートが発動する。
爆発的な光を放つレイジングハートを見て、なのはの魔力の膨大さに驚くユーノ。
そして自らがイメージした「魔法の杖」と「身を守る強い衣服」の形成に成功するなのは。
黒い影との対決が、これから始まる…!?