はやての失神は、破損していた「闇の書」を強引に使用したことによる魔力と体力の激しい消耗が原因だった。闇の書の意志…リインフォースは、守護騎士たちに自らの状況を説明する。
防御プログラムを切り離し、はやての管理者権限で魔導書としての機能は取り戻したが、根本の破損はすでに修復不能の状態。
このままリインフォースが活動を続ければ、遠くない未来、再び狂った防御プログラムを生成し、新たな「闇の書」として生まれ変わってしまうことを告げる。そのためには、自らを破壊するしかない。現状ではやてへの侵食は完全に停止しており、不自由な足もいずれ治るはず。
その結果と事実に、納得する守護騎士たち。
リインフォースとともに消滅することを受け入れようとする騎士たちだったが、リインフォースがそれを止める。守護騎士プログラムはすでにはやて個人の維持に切り替えており、消滅するのは自分一人のみであることを告げる。
そして、リインフォースはなのはとフェイトの二人に頼み事をする。
自らの破壊を、二人の手で行って欲しいというのである。
はやてが眠ったまま、別れの挨拶もせずに逝ってしまうことに反対する二人だが、リインフォースはただ「おまえたちにも、いつかわかる」と微笑む。
レイジングハートとバルディッシュもリインフォースを送る言葉を告げ、別れの時が迫る。
一方、嫌な予感に目を覚ましたはやては、魔力を頼りにリインフォースを捜す。
そして動かない体を押し、車椅子で現場へと駆けつける。
はやては儀式を止めさせようとするが、リインフォースは否定する。
必死に「自分がなんとかする、暴走なんてさせない」と訴えるはやてだが、リインフォースは意志を曲げない。
騎士も残り、友達もいる。そして、夜天の書の魔導のすべては、すでにはやてが受け取っている。
自分がいなくなっても何も変わらないと笑うリインフォースに、はやては涙ながらに怒りと悲しみをぶつける。
報われることない悲しい生涯を送ってきたリインフォースだからこそ、これから自分が幸せにしてあげなければいけなかったのに、と訴えるはやてに、
「私はもう、世界で一番幸福な魔導書です」と笑うリインフォース。
そして、リインフォースは、「はやてがいつか手にする魔導の器」に、リインフォースの名を送ることを願う。新たな器に、消滅する自分の思いや願いがきっと宿ると。
なのはとフェイト、騎士たち。そしてはやてに最後の別れを告げ、リインフォースは光となって消えていった。あとにはただ、小さなかけらが残るのみだった。
グレアムは最終的に罪にはならず、希望辞職という形で決着がついた。
管理局を引退し、故郷で暮らすというグレアムは、はやての援助を続けてゆくと言う。
それは人生を奪ったかもしれないことへの贖罪であり、責任であると。はやてが独り立ち出来る大人になったなら、すべての真実を伝える、と言い残してグレアムは管理局を去る。
そして、リンディは、亡くなった夫の墓前への報告を予定していた。
息子と、娘になるかもしれない子を連れて。
そして、事件を終えたなのはとフェイトは、二人で帰宅していた。
フェイトは、ロストロギア事件が生む悲しみの連鎖に胸を痛め、かねてより考えていた「執務官になる」という夢を明らかにする。
それは、今回の事件の関係者や、かつての母のような悲しみを少しでも減らすため。
なのはもまた、管理局の仕事を継続するつもりだった。
偶然のきっかけで得た自分の魔法。向き合い、磨いてきたその力を、誰かのために使うこと。
迎えに来たユーノと合流し、フェイトと別れるなのは。
ユーノは今回の調査功績が認められ、無限書庫の司書へとスカウトされていた。
本局であれば、ユーノの故郷であるミッドチルダよりは遙かに近いため、それを素直に喜ぶなのは。慌ただしい事件の中、あまり話もできなかった日々を思い、休みの間、いろんな話をしよう、と約束をして別れる二人。
そして、なのはは決心をする。アリサとすずか、そして家族。
皆にこれまでの事…そして魔法のこと、すべてを打ち明けることを。
翌朝。家族に「夕食前に話がある」という書き置きを残して、すずかの家のクリスマス会へと出かけてゆく。事前に行ったはやての病院では、元気を取り戻したはやてがクリスマス会へと出かける支度をしていた。リインフォースのかけらをペンダントとして下げ、新たなデバイスもその中に入れるつもりだというはやて。
騎士たちは魔導師襲撃や管理法違反で罪に問われたが、管理局業務への従事という形で償うこととなった。Sクラス魔導騎士としての保護観察を受けるはやても、嘱託魔導師としてなのはたちの後輩となると言う。
入院中に抜け出して心配をかけた石田医師に「今日はかならずちゃんと戻ってくる」と約束をするはやて。なのはとヴィータは並んでその様子を見守り、シグナムとフェイトは再戦の約束を交わす。すずかの家ではクリスマス会の支度が済み、アリサとすずかがなのはたちを待っていた。
どうやらはやても「昨夜のあの場所」にいたらしいことに驚く二人だが、
事実を受け止め、理解しようと心を決める。秘密のままでも友達。そして、その秘密に触れずにいてあげるのも友達。でも、全部教えてくれたら、きっともっと仲良くなれる。そう笑うすずか。
そうして、事件は終わってゆく。
なのはは家族や友人にすべての真実を伝え、フェイトとともに自分の道を決めてゆく。
それはかつて迷っていた「自分の将来」への、確かな答えだった。
そして、6年後の春、中学生になったなのはたち。
聖祥中の制服に身を包み、それぞれ成長したなのはたちは、同時に局の仕事を続けていた。
はやては守護騎士たちとともに捜査官に。フェイトは難関の執務官試験を無事にクリアし、希望通り執務官に。なのはは厳しい教導隊研修を終えて武装隊の教導官となり、局員たちへの戦技教導の傍ら、捜査官も勤めていた。
学校が上がっても変わらずに続くアリサ・すずかとの友情の中、三人は今日も仕事へと出かけてゆく。リンディは艦長職を退いて、クロノとフェイトの母として、自宅で二人の帰りを待てる本局勤めに。アースラの艦長はクロノとなり、エイミィもその傍らにいた。
無限書庫の司書となったユーノは、学者としての日々を過ごしている。
結びあった絆はしっかりとつながれ、新しい未来をつむいでゆく。
青い空に三人のデバイスが輝き、「セットアップ」の声が響き渡るのだった。
|