第5話スチールa

はやて、夜のスーパーで、シャマルに車椅子を押してもらって夕食の買い物をする。

最近みんなが家にいつかず、外出が多い…と笑うはやてにシャマル、「いまはみんなちょっと忙しいけど、すぐにまたみんなで一緒にいられるようになります」と訴える。きょとんとしつつも、シャマルがそう言うならきっとそうなんやね、と微笑むはやて。

今夜はすずかも家に来て、皆で鍋の予定。

家路の夜空を見上げながら、はやては「みんなは外で寒ないかな」と一人思う。

市街地に発生した結界内では、なのは達とヴィータの対峙が続いていた。

遅れて結界内に来たシグナムは、フェイトと。

前回と同じように、それぞれ一対一での戦闘を選択する一同。

ユーノとクロノは戦闘をなのはたちに任せ、それぞれ手分けして「闇の書」とその持ち主を捜索することにする。

レイジングハートとバルディッシュはカートリッジロードを行い、強く溢れる魔力を得る。

なのははヴィータのラケーテンハンマーを今度は正面から受けきり、新射撃魔法アクセルシューターでヴィータとグラーフアイゼンを圧倒する。

クロスレンジで打撃と斬撃を撃ちかわしあうシグナムとフェイト。

バルディッシュはレヴァンティンの刃をしっかりと受けきり、新射撃魔法プラズマランサー、新近接形態ハーケンフォームで、シグナムに肉迫する。

シグナムのレヴァンティンの中距離形態、鞭状連結刃「シュランゲフォルム」にもひるむことなく互角の戦いを繰り広げるフェイトに、素直な賛辞を送るシグナム。

互いの強さを認め合いつつも、勝負を続ける二人。

一方、結界の外から闇の書を手に戦場を見守っていたシャマルは、結界内のザフィーラと通信しながら現在の状況に苦悩していた。

シグナムやヴィータが戦って負けることはないだろうが、状況が良くない、引くべきだというザフィーラだが、シャマルの魔力では管理局の張った結界を破れない。

唯一の手段はあるが、それには大きなリスクが伴う。

迷うシャマルの背後にクロノが現れ、杖をつきつけ、戦闘停止を命じる。

困惑するシャマルだが、そこに突如、仮面をつけた謎の戦士が現れ、クロノを攻撃する。

はじき飛ばされるクロノ。そして仮面の戦士は、シャマルに「闇の書の力を使え」と告げる。

唯一の手段…それは、収集した闇の書のページを直接魔力に変換し、それによって砲撃を放つというものだった。完成前の闇の書は、使用すればその分ページが減ってしまい、完成が遠のく。シャマルが戸惑っていたのはそれが原因だったのだが、仮面の戦士は「減ったページはまた増やせば良い。仲間がやられてからでは遅い」とシャマルに闇の書の使用を促す。

それを止めようとするクロノと交戦した仮面の戦士は、クロノに「いずれ、これが正しいことがわかる」と謎の言葉を残して去ってしまう。

シャマルは闇の書の力を解放し、黒色の砲撃を放って結界を破壊する。

奇しくも前回の戦いとは真逆の展開で、ヴォルケンリッター一同が撤退することになる。

シグナムはフェイトに、ヴィータはなのはにそれぞれ再戦を誓い、ザフィーラはアルフに危険な砲撃から仲間を守るよう告げ、去ってゆく。

そのころ、はやてはすずかの家で、猫と戯れていた。

約束していた食事の時間に戻ってこない騎士たちを待っていたが、訪れていたすずかのこともあり、鍋の支度を自宅に残し、すずかの好意のもと、すずかの家にお邪魔していたのだった。

遅れて家に戻ったシャマルが謝罪の電話をかけるが、はやては「気にしてないよ」と笑い、
冷蔵庫にすぐ食べられるように鍋の用意がしてあることを告げる。

主との約束を守れなかったこと、主に寂しい思いをさせてしまったことに落ち込む一同。

だが同時に、仮面の戦士の正体への疑念もつのった。

当面の敵ではなさそうだが、目的がわからない。

それでも今回の砲撃で減ってしまったページを取り戻すため…少しでも早く、はやてを「闇の書の真の主」とするため。次第に増えてゆく脅威をかわし、一刻も早く闇の書の蒐集を成し遂げることを胸に誓う、シグナムとシャマル。

ひとまず落ち着いた管理局の駐屯所では、事件の整理をするためのミーティングが行われていた。

クロノとリンディが事件についての考察をする一方で、エイミィはなのはとフェイトにレイジングハートとバルディッシュのことを伝える。

ベルカ式カートリッジシステムは、本来ならレイジングハートたちのように繊細なインテリジェントデバイスに組み込むようなものではなく、持ち主のちょっとした魔力操作ミスが原因で本体破損につながる危険もはらんでいる。

そう伝えて止めたのだが、レイジングハートもバルディッシュも聞かず、危険なシステムをその身に搭載することを選んだのだという。

それは、先の戦いで主を守れなかった自らの力不足と後悔。

そして、自らを信じてくれていた主の信頼と期待に応えきれなかった我が身の不甲斐なさ。

その思いが無機質な鋼の心を駆り立て、それぞれの主への絶対的な信頼が、危険を顧みることをさせなかった。

そんな思いに応え、なのはとフェイトは自分のデバイスに感謝と、新たなる信頼の思いを伝える。

エイミィの説明では、それぞれのデバイスのモードは3つずつ。

レイジングハートは、中距離射撃戦用のアクセルモード、遠距離砲撃戦用のバスターモード。

基体の限界まで性能を引き出す「フルドライブ」はエクセリオンモード。

バルディッシュは近接戦闘を中心とした汎用形態「アサルトフォーム」、サイズフォームの光刃をさらに強化した「ハーケンフォーム」、フルドライブは「ザンバーフォーム」。

レイジングハートはなのはの魔法資質に合わせて完全な射撃・砲撃強化用のデバイスに。

バルディッシュは、デバイスに頼らず個人で射撃や広域魔法を使いこなせるフェイトへの信頼から、近接戦闘強化のみに特化したデバイスにそれぞれ生まれ変わった。

だがエイミィは、それぞれのフルドライブモードはいまだ使うべきではないと伝える。

特にレイジングハートの「エクセリオンモード」は、なのは本人とカートリッジシステムが合算された莫大な魔力を扱う分、些細なミスが本体破損につながる可能性が高い危険なモードであるため、フレーム強化を行うまでは使ってはいけない、と釘を刺し、それにうなずくなのは。

事件について考えるクロノは、ひとつ腑に落ちないことがあるという。

それは、闇の書の使用目的と、守護騎士たちの性質や言動の矛盾点であった。

管理局のデータでは、闇の書はひとたび完成したなら純粋な破壊にしか使えない、いわば制御不能の爆弾のようなもの。

だが守護騎士たちは自らの意志で、さらには「主のため」に闇の書の完成を目指しているということ。それが大きな矛盾なのだった。

そして、守護騎士たちの性質について、クロノは静かに言及する。

守護騎士たちは、人間でも使い魔でもない。

闇の書とその主を守るためにのみ存在する、魔法技術で生成された疑似人格。

主の命を受けて行動する、ただそれだけのためのプログラムに過ぎないはず。

そう伝えるクロノ。

事態は、さらに混迷を極めてゆくのだった。

 
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