第9話「決戦は海の上でなの」
アースラに臨時局員として乗り込むことになったなのはとユーノ。
学校はしばらくお休み。
教室ではなのはの休み中、なのはのノートとプリントの担当者にアリサが立候補していた。
それを見て微笑みつつ、なのはのことを心配するすずか。
アースラの面々の強力なバックアップもあり、なのはたちは順調にジュエルシードを集めていく。
ユーノの体調と魔力もすっかり全快し、本来の姿でなのはのサポートを続ける。
一方、フェイトたちは管理局の捜索から逃走しながらジュエルシードを回収していた。
10日間で、集まったジュエルシードは、なのはたちが3つ、フェイトたちが2つ。
残り6つは海中かもしれない、と、捜査を続けるエイミィと管理局一同。
アースラの食堂で、おやつを食べながら話をするなのはとユーノ。
ユーノには両親がいないが、部族の皆に育ててもらったこと。
なのはは、かつて父が大怪我をしてしまって入院暮らしとなったことから家族が忙しくなり、広い家の中で孤独な幼少期を過ごしていたことを話す。
「だから、ひとりぼっちは、結構平気」
そう笑い、ジュエルシードの問題が片づいたら、お互い色々話うしようと笑いあいつつも、ジュエルシード問題が片づいた時、それが二人の別れの時であるという予感に、かすかな寂しさを感じる二人。
その時、艦内のアラートが鳴り響く。
捜査区域の海上でフェイトが巨大な魔方陣を展開し、魔力流を発生させていた。
海の中にあるジュエルシードを強制発動させ、一気に封印しようという目論見だった。
狙いは当たり、6つのジュエルシードが同時に発動する。
だが、アルフはフェイトの魔力を心配する。
巨大な魔力流を放ち、さらに荒れ狂うジュエルシードの暴走をかわしながら封印。
ほとんど不可能に近いその計画を不安に思いつつ、いかなることがあろうとフェイトを守ることを決めるアルフ。
魔力のほとんどを消耗しつつも、封印にかかろうとするフェイト。
ブリッジで戦闘の様子を見守る管理局一同に、自分も現場に行きたいと申し出るなのはだが、クロノとリンディに却下されてしまう。
放っておけば確実におとずれるフェイトの自滅を待つ。
仮に自滅しなかったとしても、フェイトが力を使い果たしてから叩くという戦略。
「残酷に見えるかも知れないけど、これが現実」
というリンディの言葉にうつむくなのは。
だが、そんななのはの心に、ユーノからの念話が入る。
「行って」というユーノに、なのはは、ユーノの目的はジュエルシードの回収で、フェイトと話をしたいというのはなのは一人の都合だから、迷惑はかけられないと言うが、ユーノは笑って
「僕はなのはが困ってるなら力になりたい。なのはが僕にそうしてくれたみたいに」
と伝える。
状況に気づき、制止しようとするクロノだが、なのはは転送ポートからユーノの魔力でフェイトの結界内へと転送されてゆく。
空中でレイジングハートの起動とバリアジャケットの着装を行い、フェイトの前に訪れるなのは。
ジュエルシードを奪いに来たと思ったアルフがなのはに襲いかかろうとするが、同じく転送されてきたユーノに止められる。
クロノが叱責するが、なのははフェイトが抱えた孤独をうっすらと理解しはじめており、そのため、「ひとりぼっちの時に、一番してほしかったこと」をするべく、フェイトの元に向かう。
「手伝って、ジュエルシードを止めよう」と、なのははフェイトに魔力の供給を行う。
暖かななのはの魔力に包まれてフェイトの魔力は回復する。
「ふたりできっちり、はんぶんこ!」
なのははフェイトに「二人で「せーの」で一気に封印」、と伝え、なのはは上空へと飛翔する。
それを見送るフェイトだが、バルディッシュはフェイトの手の中でシーリングフォームへと変形する。
まるで「いまは協力して封印をするべき」と伝えようとしているかのようなバルディッシュを見つめ、なのはを見上げるフェイト。
なのはが向けた明るい笑顔…ジュエルシードの暴走を止めているユーノとアルフを見て、フェイトは決意する。
そして、なのはの「せーの」の掛け声で、なのはのディバインバスター・フルパワーと、フェイトの範囲攻撃魔法・サンダーレイジが同時に炸裂。
巨大な魔力の爆発とともに、ジュエルシード6個はすべて封印される。
浮かび上がってきたジュエルシードの光を受けながら、なのはは考える。
ひとりぼっちで淋しいときに、一番してほしかったのは、同情されることでも、優しさをもらうことでもなかった。
誰かと同じ気持ちを分け合えること。寂しさも悲しさも、「はんぶんこ」にできること。
なのはは自分の気持ちに気づく。
自分が、フェイトと「分け合いたい」こと。
「友達になりたいんだ」と、なのははフェイトに思いを伝える。
だが次の瞬間、空から雷光が鳴り響く。プレシアの次元魔法だった。
アースラとなのはたちのもとに雷が降り注ぎ、フェイトは直撃を受けて悲鳴をあげる。
助けようとしたなのはも弾き飛ばされてしまう。
落下するフェイトを助けたアルフは、6個のジュエルシードへと手を伸ばす。
だが、転送されてきたクロノがその手を止めた。
クロノを吹き飛ばすアルフだが、クロノはとっさにその場の半分…3個を手にしていた。
アルフは怒りと悲しみの声を上げ、その場から逃走する。
追跡しようとする管理局だが、プレシアの雷撃で追跡のための機器が機能停止していた。
雷が去り、静寂が戻った海上には、ただ巻き上げられた海水が雨のように降り注ぐだけだった。