第12話「宿命が閉じる時なの」
時の庭園へと向うなのは・ユーノ、クロノ。
崩れ落ちたままのフェイトに、アルフは自分の想いと、これから訪れるはずの未来をそっと語り、なのはたちの手伝いへと向ってゆく。
フェイトは自らの短い過去を振り帰り、アルフと、「白い服の少女」との出会いと戦いの日々を回想する。
母を信じて、母のために生きてきた自分。
母に認めてもらうことだけがすべてだった自分。
もはやすべてが終わってしまったかのような虚無感の中、呆然とするフェイト。
だが、迷う心の中に、フェイトは戦いの中でなのはが自分に伝えた言葉を思い出す。
「逃げればいいってわけじゃない。捨てればいいってわけじゃ、もっとない」
「わたしたちのすべては、まだ始まってもいない」
一度は砕け、もはやかろうじて形を保っているだけの自らの杖…バルディッシュに、フェイトは問う。
自分はもう終わったのではなく、まだ始まってすらいなかったのかと。
バルディッシュは傷だらけの機体を起動させ、静かに「準備完了」を告げる。
どんなに傷ついても戦う意思を捨てない愛杖の姿に、
フェイトはバルディッシュもまた、自分とともに傷ついても戦いつづけてきたことを思う。
傷ついても砕けても、強く光を放つバルディッシュに涙を落とし、フェイトは想いを決める。
それは運命から逃げることでも、戦いや信じたものを捨てることでもなく。
愛する人の過ちすら疑わず、ただ信じることだけに逃げていた弱い自分…
「今までの自分を終わらせる」という答えだった。
バルディッシュを手に、庭園へと向うフェイト。
傀儡兵との戦いに苦戦しているなのはたちの元に訪れたフェイトは、一撃のもと傀儡兵を破壊する。
驚くアルフとなのはの前に、静かにたたずむフェイト。
出現した、強力な大型傀儡兵を前にどう戦うか悩むなのはに、フェイトは静かに協力を申し出る。
なのはは笑顔でうなずき、二人はそれぞれの砲撃魔法を同時発動させる。
そしてタイミングを合わせたフルパワー照射は大型傀儡兵を吹き飛ばし、庭園の外壁さえ撃ち抜いてゆく。
駆動路に向うなのはとユーノ、プレシアのもとへと向うフェイトとアルフ。
駆動路を守る大量の傀儡兵を前に、なのはを守ろうと前に出るユーノ。
なのははそんなユーノのもう一歩前に出て、ユーノへの感謝を伝える。
いつも一緒にいて、守っていてくれたこと。
背中がいつも温かいから、だから自分は戦えること。
一方、多大な犠牲を払ってもアルハザードへと旅立とうとするプレシアを、リンディが次元震の進行を押さえることで止める。
伝承に過ぎないアルハザードを信じようとする無謀を咎められたプレシアは、それを一笑に伏す。
道は、確かに存在すること。
実験の失敗、自分のすべてだった愛しき者の死、その後の暗鬱なる人生。
「こんなはずじゃなかった世界のすべて」を取り戻そうとするプレシアを、クロノが制止する。
世界はいつだってこんなはずじゃないことばかりで、ずっと昔から、誰だって、いつだってそうなのだと。
不幸から逃げるか戦うかは個人の自由だが、他人を巻き込む権利は誰にもない。
そう告げるクロノ。
そして、たたずむプレシアのもとにフェイトが訪れ、自らの想いをこめた言葉をかける。
迷いを捨て、まっすぐに自分の意思を示して指しだされたフェイトの手を、だが、プレシアがとるとこはなかった。
プレシアは、自らが願った「ただひとつの幸せ」とともに、虚数空間へと落ちていった。
庭園は、崩壊を始めてゆく…。