第10話「それぞれの胸の誓いなの」
アースラに回収され、リンディからのお叱りを受けるなのはとユーノ。
クロノとエイミィの調査により、管理局側は事件の黒幕がプレシアであることに気づく。
かつてはミッドチルダで次元航行エネルギーの研究を行っていた大魔導師。
違法実験による事故で放逐され、以後足どりがつかめなくなっていたはずの彼女が、いったい何を望んでいるのか。
調査を続ける一同。
一方、フェイトは再度プレシアからの激しい叱責を受けていた。
鞭打たれながら、フェイトはなのはの言葉を思い返す。
「ともだちに、なりたいんだ…」
長い叱責が終り、プレシアが姿を消したころにはフェイトは傷だらけで気を失っていた。
そんなフェイトに駆け寄り、プレシアの非道にはっきりと敵意を持つアルフ。
地下で一人ジュエルシードを眺め、自らの体を侵す病魔に血を吐きながら、
「もう時間がないわ…わたしにも、アリシアにも」
そうつぶやくプレシア。
アルハザードへ向かうには、ジュエルシードが9個では足りないのだと。
そんなプレシアのもとへ、怒りに燃えるアルフが訪れる。
プレシアのバリアを素手で突き破り、プレシアを問い詰めるアルフだったが、プレシアの一撃で戦闘不能に陥ってしまう。
自分を抹殺しようとするプレシアからかろうじて逃げ、転移するアルフ。
それを見送ったプレシアはフェイトのもとへと赴き、ジュエルシードを最低でもあと5つ、捕獲してくるように告げる。
アルフがいないことに気づくフェイトに、「あの子は逃げ出した」と嘘を告げるプレシア。
その嘘に気づきながらも、命令に背くことをしないフェイト。
なのはの家にはリンディが訪れ、この10日ほどの状況を、若干の真実と9割の嘘をとりまぜて、桃子たちに説明していた。
その鮮やかな語り口に困惑を隠せないなのはだが、「ご家族に心配をおかけしないための気遣い」というリンディの言葉でとりあえず納得する。
アリサはなのはからのメールを受け取った帰宅中の車中から、山中で怪我をして倒れている大型犬を発見する。
それはプレシアの攻撃で深い傷を負い、人間体を維持できずに気を失いかけているアルフだった。
アリサは鮫島に頼み、その「大型犬」を連れ帰る。
翌日の学校で再会を果たすなのはとすずか・アリサ。
アリサも怒りをいくらか収め、素直に再会のひとときを過ごすことにする。そんなアリサから「昨日、怪我した犬を拾った」という話を聞き、アルフのことに思い当たるなのは。
訪れたバニングス家の檻の中にいたのは、やはりアルフだった。
心配するなのはに背を向けるアルフ。
ユーノがアルフの話を聞き、なのははアリサたちと室内へと入っていく。
事態を監視していたクロノからの促しもあり、「フェイトを助ける」という約束のもと、これまでの全てを話すアルフ。
全ての事情を知った一同。
管理局は任務をジュエルシードの回収から、事件の元凶であるプレシアの逮捕へと変更。なのははクロノに問われ、「フェイトを助けたい」という意思をはっきりと提示する。
フェイトの悲しい顔は自分もなんだから淋しい。
それに、友達になりたいと伝えた返事をまだ聞いていない。
そう笑うなのはの言葉に、涙を浮かべるアルフ。
アリサたちのもとに戻ったなのはは、久し振りの友人とのひとときをしばし過ごす。
吹っ切れた様子のなのはに、これまでの思い…「なのはがどこか遠くに行ってしまいそうだった不安」を告げるアリサと二人を見守るすずかに、「どこにもいかない」と笑うなのは。
家で家族とのひとときを過ごし、翌早朝、ユーノと共にふたたび旅立つなのは。途中アルフと合流し、たどりついた臨海公園。
朝焼けの空の下、初めて出会った時と同じように、ふたたびめぐり合う二人の魔法少女。
アルフはフェイトを説得するが「それでも私は、あの人の娘だから」と、壊れそうな親子の絆を信じようとするフェイト。
なのははそんなフェイトに、「逃げればいいってわけじゃない。捨てればいいってわけじゃもっとない」
そう自分の思いを告げる。
自分がこだわること、信じたいことを変えられない、変えたくない。
不器用で、だけど純粋でまっすぐな思い。それはなのはがフェイトに強く共感を持つ部分でもあった。
なのはは静かにバリアジャケットを着装し、フェイトに向かって
事態のきっかけとなったジュエルシード…互いが持っている全てのシードを賭けての勝負を挑む。
「わたしたちの全ては、まだはじまってもいない…。
だから、本当の自分をはじめるために…。始めよう、最初で最後の本気の勝負!!」