SPECIAL

ILLUST STORY

#2-1
魔人狩り

魔人狩りは今夜の「狩り」を終えた。
今夜の獲物も、違法薬物を売買する反社会組織と、その関係者たちだった。

「魔人は殺す」

それは「魔人狩り」首魁、夜海トワが口癖のようにつぶやく言葉。
自ら魔人になることを選択した者と、そのための薬物。その存在を許さないのが「魔人狩り」だった。

魔人狩りは今夜の「狩り」を終えた。
今夜の獲物も、違法薬物を売買する反社会組織と、その関係者たちだった。

現在、瑞穂をはじめとする世界中で、かつての違法薬物に加えて「魔人化薬」が一大市場を築いている。
主に侵略種の体組織から生成して作られるその薬物は、適合する人間の身体を魔人へと変貌させる。

狩りを終えて集合したメンバーは4人。
最も年下の少女――古寺ユズが今日の狩りについての話を切り出した。
「会社経営者の副業が、薬物ブローカーのスポンサー……嫌な話です」

長身と小麦色の肌の少女・喜多森ユーナと、帽子の少女・新名アオイが話を続ける。
「あたしがやったのは会計士とその護衛。親子のフリしたおじさん二人ね」
「シオリは『食堂』だよね……?」

投げかけられた質問に、最年長の女性――それでも20代になって間もない――相沢シオリが答える。
「ええ」

魔人の多くは人間を食う。そのための「食材」を仕入れ、調理して供する食堂が存在する。
食材として処理された遺体を目撃したシオリの内心は、怒りに満ちている。
「魔人狩り」をはじめてから3年、幾度も見た光景ではあるが、慣れることはない。

「トワさんは?」
「今夜のうちに、次の現場を下見に行くそうです。私達にはちゃんと帰るように、と」

「魔人狩り」を名乗る者は5人いるが、本来の「魔人狩り」は首魁である夜海トワただひとり。
少なくともトワ自身はそう考えており、「支援者」であるシオリたちにも再三そう伝えている。

「魔人は殺す」
それは「魔人狩り」首魁、夜海トワが口癖のようにつぶやく言葉。
自ら魔人になることを選択した者と、そのための薬物。その存在を許さないのが「魔人狩り」だった。

そんなトワの力になりたい。シオリたち4人は、そんな思いでトワと共にいる。
たとえ力及ばずとも、持てる力の限り庇護したいと思う相手。
仲間として認められていないことを感じつつも、押しかけ弟子のような形でトワに協力していて、トワはそれを黙認している。

「トワちゃんは直帰?ごはん買っていってあげようかなって思ったけど」
メンバーの中で唯一、トワに対して気安く接するユーナが切り出す。
「戻らないから、各自解散、って」
連絡の窓口を務めることが多いユズが、残念そうに答えた。

「トワさんを束縛はできませんからね。送っていきますから、今夜は解散しましょう」
一同のまとめ役でもあるシオリが締めくくる。

「トワさん…」
ユズがつぶやく。
恩人、救済者、尊敬の対象。
支援者であるユズたちの思いが、いつかトワに届くのか、「そうではない」終わりを迎えてしまうのか、それは誰にもわからない。

それでも、心の刃は研ぎ澄ます。
次の狩りの夜にも、獲物に確実に仕留めるために。