「魔法少女リリカルなのは EXCEEDS Gun Blaze Vengeance」オフィシャルインタビュー
音楽 塩野 海 さん
●リリカルなのはシリーズには今回が初参加となられるかと思いますが、お仕事を引き受けられた経緯をお聞かせいただけますか。
劇伴としては今回が初参加となりますが、これまでリリカルなのはシリーズには、『Detonation』の劇中歌や『キャラクターソング コンプリートBOX』の編曲・ストリングスアレンジという形で関わらせていただいておりました。そうした流れの中で、劇伴制作のご依頼をいただけたことをとても嬉しく思っています。
●作品を引き受けられるとなって、これまでのなのはシリーズの音楽を参考にされたりははしましたか?また、シリーズへの印象は何かありましたか?
お話をいただいてすぐ、佐野広明さんや中條美沙さんの作品を取り寄せて分析し、準備を進めていました。ですが、制作チームの方々が私独自のサウンドを尊重してくださったこともあり、多くの曲でしっかり自分のカラーを出させていただけたと思います。
リリカルなのはシリーズは、ファンの皆様の作品読解力や考察力がとても高いという印象を持っています。
『Detonation』の頃からそれを肌で感じていましたので、一層身を引き締めて臨ませていただきました。
●音楽の方向性に関して、浜名監督や原作の都築先生と何か話し合われたことはありましたか?また、ハマノ音響監督からはどのような形でオーダーがありましたか?
制作チームからは、全体の方向性として「音楽が"溶けすぎない"ようにしたい」というオーダーをいただきました。そのため、しっかり印象に残り、場面を牽引できるような楽曲を多めに作ることを心がけています。
ハマノ音響監督からは「(特に戦闘曲では)流れを一変させたいので、曲が掛かった瞬間ビックリさせてください!」とのユニークなオーダーがありました。サントラご視聴の際はどうかご注意ください(笑)。
●作曲に取り掛かられたタイミングはいつ頃だったでしょうか?最初に作られた曲や全体でかかった時間など、作曲に関しての苦労や楽しかったことを教えてください。
2025年の春に取り掛かり、約1ヶ月をかけて全47曲のデモアップを行いました。常に複数曲が同時に進行するスケジュールでしたが、チームからの感想コメントがとても嬉しく、それを励みに気合いで走り切りました。
最初の1曲は『EXCEEDS』(シリーズメインテーマ)です。まさにこのシリーズを象徴する一曲に仕上がったのではないかと思います。作中でもとても印象的な使い方をしていただきました。
●シイナ/セツナ/トワ/篠宮・蔵木/魔人狩りなど、キャラクターや陣営ごとにテーマ音楽が作られていますが、それぞれどんなイメージで作られていきましたか?
陣営ごとに意識しているのは、楽器の扱い方です。楽器本来の自然なフレージングで気持ちよく歌っているか、それとも、無理をさせられて悲鳴のような音になっているか、切り刻まれて人間には演奏できない音にさせられているか……EXCEEDS陣営の真っ直ぐな力や、魔人というアンナチュラルな力を、そういった違いで表現しようと試みています。
また、キャラクターごとのフレーズをさまざまな楽曲で登場させる劇伴ならではの仕掛けもふんだんに取り入れています。特にセツナのメロディは、多くの楽曲で姿を見せます。是非とも探してみてください。
●劇伴音楽の収録に関して、現場でのエピソードがあればお聞かせください。特に印象的だったミュージシャンの方などいらっしゃれば、ご紹介いただければと思います。
いくつかの主要な楽曲で、happy soulman氏にご参加いただきましたが、リリカルなのはシリーズのギターを長く弾かれている氏の存在感はやはり大きかったです。一音一音に込められた情報量の多さ、楽曲を一手で支配する主導力がとても印象的でした。
余談ではありますが、その日からhappy soulman流ギターを自分のプレイにも取り入れようと特訓を開始しており、それは現在も続いています(笑)。
●本編をご覧になっていて、音楽の使い方がすごいなと思った場面や、ご自身の想定とは違ったけど印象的だった場面などはありましたか?
トワのメインテーマの使い方には、制作チームの強いこだわりを感じました。視聴者さんの感想を追っていても、このメロディに触れてくださっているご意見を多く目にしました。BGMでありながら、多くの方にひとつのメロディとして認識していただけたのは、ひとえに制作チームの技術、情熱、そして配置の妙によるものだと思います。
●Xのご投稿によるとリアタイ視聴をされているそうですが、いち視聴者として見たこの作品の魅力をお聞かせください。
なんといっても『関係性』だと思います。シイナとトワはもちろん、マナとエイジ、魔人狩り達とトワ、そして、シイナの中にいるセツナ……関係性はひとつひとつ異なりますが、それぞれがとても美しく繊細に描き分けられていて、画面に映っていない時間にまで想像が掻き立てられます。
●本作に限らず、塩野さんが劇伴を作られる際に大切にされていることはありますか?
『視聴者の記憶に残ること』と『視聴者の記憶に残らないこと』、その両方を大切にし、意識的に押し引きを作ることを心がけています。
それと……少し子供っぽい表現になりますが、「この場面でこんな曲が掛かったらめちゃくちゃヤバいよね!!」みたいな童心は今でもとても強く持っています(笑)。
●この作品を手掛けられて、改めて塩野さんが感じられたことをお聞かせください。
放送が開始してから、シリーズを愛する大勢のファンのみなさんの反応を追いかけていました。改めてリリカルなのはシリーズの長い歴史、そして、その"現在"に関わらせていただいたことへの重みを実感しています。誠心誠意、作らせていただきました。是非、Blu-ray特典のサウンドトラックもお手に取ってみてください!
