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第13話「なまえをよんで」12

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プレシアが落ちた虚数空間を呆然と見下ろすフェイト。
崩壊する庭園の中、落下してきた瓦礫で床が崩れる。
はぐれてしまったアルフの必死の声が響く中、フェイトはかろうじて落下を免れた。

そんな時、天井をバスターで撃ち抜いてなのはが現れる。
傷だらけの体で手をさしのべ、なのははフェイトを呼ぶ。
そんのなのはと虚数空間を見比べ、心を決めてフェイトは飛翔し、なのはの手を取ることを選ぶ。

ふたりの手はしっかりとつながれ、庭園は崩壊した。

脱出した一同はアースラの医務室で治療を受けるが、フェイトは護送室に隔離されてしまう。
次元干渉犯罪の重要参考人。それが、フェイトの今の立場だった。

次元震の余波が納まるまでの間、アースラの中で静かに数日の時が過ぎてゆく。

フェイトの処遇が気になるなのはは、クロノにそれを問う。
通常なら数百年以上の幽閉になるのが普通……だが、クロノはフェイトの無罪申告を進めるという。
「何も知らされず、ただ母親の願いをかなえるために一生懸命なだけだった子を罪に問うほど、時空管理局は冷徹な集団じゃないから」

そしてなのはの帰宅の日程が決まるが、ユーノの世界…ミッドチルダ方面は航路が安定せず、ユーノはまだ帰ることができないという。
困るユーノに、なのはは今までどおり自分の家で暮らすことを勧め、ユーノもそれを受け入れる。

帰宅し、家族や友人と再開を果たすなのは。
やっと戻った日常を過ごしながらも、心の中に残った気がかりはフェイトのこと。

日常に戻って数日が過ぎたある日、なのはのもとに電話が来る。
クロノからの連絡で、フェイトは裁判のため、本局に移動になるという。
その前に、フェイトが「会いたい」と言っていること。

早朝…海辺の公園へと訪れるなのは。
迎えたのは、バリアジャケットではなく普段着に身を包んだフェイトだった。

クロノとアルフ、ユーノは離れ、二人で話すことになるなのはとフェイト。

互いの前で、うまく言葉が出ない二人。
なのはは笑顔を、フェイトは小さな感謝をそれぞれ伝えあい、フェイトが「来てもらった理由」を切り出す。

なのはが伝えた、「友達になりたい」という言葉の返事。
フェイトは、自分でよければ、と思うが、「友達になる方法」がわからない。

「だから教えて欲しいんだ…どうしたら、ともだちになれるのか」

そんなフェイトに、なのはは友達になるのはすごく簡単、と、微笑んで答える。

「名前を呼んで…」

始めはそれだけでいい。
君とかあなたとかでなく、ちゃんと相手の目を見て、はっきり名前を呼ぶこと。

フェイトは静かになのはの名を呼び、なのはは笑顔で返事を返す。
そして、何度も何度も自分の名前を呼ぶフェイトに、涙を落とすなのは。

フェイトもまた、「友達が泣いていると自分も悲しい」ということを知り、二人は抱き合い、小さな約束をする。

きっとまた会えること。
会えたらまた、互いに名前を呼び合うこと。
フェイトは「なのはに困ったことがあったら、今度はわたしがなのはを助けるから」と微笑む。

アルフはフェイトの笑顔に涙を落とし、ユーノはそれを慰める。

そして、別れの時。
なのははフェイトに、想い出の証として自分のリボンを差し出し、フェイトもそれに答える。

「きっとまた」の約束とともに、フェイトたちは去って行った。

そして海を前に、降ろした髪を風に揺らし、なのははユーノに促され、笑顔で振り向く。

小さな事件は終りを告げた。
それぞれの日常を過ごしてゆく一同。
平凡な小学生に戻り、アリサやすずかたちと笑いあうなのは。
管理局の任務に戻るアースラの面々。
移送の間、アースラの一室でなのはにもらったリボンを結んでみるフェイト。
空を振り仰ぐなのは。

いま、新しい時が始まってゆくのだった。